全身からサンバの匂いを撒き散らす男、ジョルジ・ベン。この人がどんなに凄い人かを端的に言い表すならば、「“マシュ・
ケ・ナダ”を作った人」という事に尽きます。78年に発表し
たこの「黒人ゼーのバンド」は、ジャケットこそ「仲間の披露
宴で弾き語りをする寿司職人」ですが、かの名曲「タジ・マハ
ール」を収めた「アフリカ・ブラジル」と並ぶ彼の代表作と言
っていいでしょう。
ベンさんの音楽は「サンバ・ホッキ(Samba Rock)」などと
称されますが、ロックよりはむしろブルース、そしてジェイム
ズ・ブラウンの影が見えます。1曲目の表題曲を聴いてみまし
ょう。のっけから飛ばすホーン、切れまくるギターのカッティ
ング、JB確信犯です。でもリズムは超サンバ、“痙攣”状態
のクイーカに先導されて唄い出すベンさん、「パンデイロ、ク
イーカ、タンボリン、ガンザ・・・」サンバのリズムでサンバ
の楽器名を連呼する、判りやすさ120%であります。
ベンさんは昨年(2008年)9月に来日もいたしました。代々
木公園で開催されたブラジル・フェスティバルの最終日、おお
とりのステージに立ったベンさん。ベンさんのライブが始まる
と、それまで快晴だった空が真っ暗になり、落雷ともの凄いゲ
リラ豪雨が我々を襲いました。豪雨を物ともせずに吼えまくる
ベンさん、観客のボルテージは最高潮!天気まで味方につける
男、ジョルジ・ベン。彼の音楽、その本質はロックでもブルー
スでもない、唯一無二、真似する者すら未だ出てこない「ベン
さんのサンバ」なのです。
この「ア・バンダ・ド・ゼー・プレチーニョ」をリリースした
ボンバ・レコードは、ブラジルそしてラテン音楽の名作のリイ
シュー(再発売)に力をいれている会社ですので、ぜひサイト
やお店でチェックしてみてください。 |