Clara Nunes
レーベル: EMI Music Brasil
品 番: 646580−2
価 格: 1200円(輸入盤)
製造国: ブラジル/1975年作品
(2010年再発盤)
買ったお店: ディスクユニオン新宿本館4階
ラテン・ブラジルフロア

ああ、このコーナーでクララ・ヌネスを紹介できる日が来ようとは。このコーナーは「現在購入可能なCD」を紹介していますので、いくら名作でも廃盤状態の作品は紹介できません。そういう作品やアーティストは実に多いです。このクララ・ヌネスもその一人、私が知っているサンバ歌手の中で一番好きな人です。

クララのベスト盤や編集盤はCDでも数多く出ていますが、オリジナル作品は全て長い間廃盤の憂き目にあっていました。今年の春、オリジナルLP全16作とLP未収録曲を網羅した9枚組CDが出ましたが、単体としては久々の再発です。今回はEMIブラジルがEMI Music PACと題し、旧作を簡易パッケージの廉価版でリリースする中の一枚です。全部で71作品がこの型式で出るそうで、カルトーラやパウリーニョ・ダ・ヴィオラ、エリス・レジーナなどの歴史的名作から、セウ・ジョルジの「AmericaBrasil」や前に紹介した「Samba Social Clube Ao Vivo」といった最近の作品までがラインナップされています。クララは今のとこ
ろこの「Claridade」だけのようですが、他の作品も期待したいところです。

クララ・ヌネスはミナス州出身で、66年にデビューした頃は主にサンバ・カンサオンをレパートリーにしていました。その後マドゥレイラ地区でポルテーラやインペリオ・セハーノなどのエスコーラ・ジ・サンバやアフリカ系の人々と交流を深め、アフロ・ブラジリアン文化に接近していきます。数々のヒット曲を放ち、アルシオーネやベッチと並ぶ国民的サンバ歌手となりましたが、83年に静脈瘤の手術が失敗し、41歳の若さで他界してしまいました。亡くなる前年には来日公演を行い、日本のテレビ番組にも出ました。

この「Claridade」は75年発表の9作目で、絶頂期にある彼女の艶やかな歌声が堪能できます。冒頭を飾る“O Mar Serenou”や“Juizo Final”は彼女の代表曲であり、オリシャの神々を唄った“A Deusa dos Orixas”はサンバのコンピレーション盤に必ずと言っていいほど収録される定番曲です。

アフロ・ブラジリアンのルーツに根ざしたクララの土着性サンバは、テレーザ・クリスティーナらの若手によって現代に受け継がれ、今なお多くの人々を魅了し続けています。

 

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