Mariene de Castro

Sonia Santos
レーベル:ワード・レコーズ
品 番: VQCD10227
価 格: 2500円(国内盤/2011年)
製造国: ブラジル/SomLivre/ 1975年作品
買ったお店:ワーレコード渋谷本店

ブラジル音楽ファンなら、ソン・リブレ(SomLivre)というレーベル名をご存じでしょう。60年代後半にTVグローボの音楽管理部門としてスタートして以来、サンバ、ボサ・ノヴァ、ロック、ジャズ、サントラなど広範なジャンル、かつ膨大な量の作品をリリースし続けており、その豊富すぎるカタログはまさにブラジル・ポピュラー音楽の大鉱脈と言えるでしょう。しかし、音楽を「消耗品」として扱う傾向のあるブラジル音楽業界、ソン・リブレも例外ではなく、過去のほとんどの作品は廃盤となり今や入手困難な状況です。

近年、クラブやソフトロック・ブームから70年代のブラジル産ロックやサンバ・ソウル、ボサ・ノヴァの人気が再燃し、ソン・リブレのカタログに注目が集まるようになりました。日本ではボンバ・レコードが再発を進め、このコーナーの第1回目はその中の一枚でした。

今回、ワード・レコーズというところから世界初CD化を含む30作品が国内盤で発売される事になりました。ここで紹介するソニア・サントスさんのデビュー・アルバムも世界初CD化です。前からずっと欲しかった、という作品ではありませんが、ディスク・ガイド本でジャケ写を眺めるだけ、と思っていたので実際に音が聴けるのは嬉しいことです。

ソニア・サントスさんはいわゆる「サンバ・ソウル」系として語られる事が多く、今回の発売も“クラブで使えるグルーヴィなサンバ”として白羽の矢が当たったのではないかと思われます。冒頭を飾る“Madeire deLei”や11曲目の“Recenseamento”はまさにそんなじですが、発売当時はむしろエリザ・ソアレスやエリス・ヘジーナの路線で売ろうとしていたのだと思います。全編を通して聴いてみると、歌がうまくてどんなタイプの曲も器用にこなす人で、もしエリス・へジーナが正面からサンバに取り組んだアルバムを残していたとしたら、おそらくこんな感じの作品になっていたでありましょう。

現在のソニアさんはアメリカに活動拠点を移し、「ブラジル・ブラジル(Brasill Brazil)」というユニットでサンバ・ショーを展開しているそうです。けっこう人気のあるショーのようで、機会があればぜひ見てみたいものです。

 

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