イギリスのレーベル「ナセンチ/nascente」が手がける激安コンピレーション“Beginner’s Guide”シリーズ、世界中の様々な音楽を紹介するこのシリーズにサンバ編が登場しました。
タワレコではＣＤ３枚組で１４９０円と大変お買い得でしたが、どのお店もそれぐらいの価格設定です。「初心者案内」というタイトルと値段にごまかされてはいけません、なかなかあなどれないシリーズです。

このシリーズは、３枚がテーマ別に編集されているのが特徴です。このサンバ編も“Classic Samba”“Samba Funk&Soul”“Samba Now”と、それぞれサブ・タイトルが付いています。ジャケット写真はカーニバル満載ですが、内容とはほとんど関係ありません。

まず１枚目の“Classic Samba”ですが、他の２枚と比べて「オーソドックスなサンバ」いう意味の“Classic”のようです。テレーザ・クリスティーナが唄うパウリーニョ・ダ・ヴィ
オラの名曲?に始まり、ノカ・ダ・ポルテーラの?、ジャバンの?、ジョアン・ドナートの?など玉石混淆ながらつぼを押さえた選曲と、大御所ネルソン・サルジェントからパルチデイロス・ド・カシーキなどの若手まで、様々なサンバが楽しめます。ベスト・トラックはサンパウロの名門エスコーラ「ペルーシ」のヴェーリャ・グアーダによる?です。

やたら充実しているのが２枚目の“Samba Funk & Soul”で、フェルナンド・ポルト、クルビ・ド・バランソ、マルシオ・ロカル、マルセロＤ２、ボッサクカノーヴァなどクラブの人気者が勢ぞろい、ＤＪ用にも便利な一枚です。現役組に混じって?に登場する“ブラジルのジョン・ボーナム”故ドン・ウン・ホマンのバツカーダが異彩を放ちます。

３枚目の“Samba Now”はセウやモレーノ、カブルエラなどの新世代アーティストが登場します。彼らはサンビスタではないし、ここにあるのが今のサンバか？と言えば違うのですが、どの曲も大なり小なりサンバの影響は感じます。ブラジルでは常に新しい音楽が生まれていますが、サンバの種はかなり遠い所まで飛んで行き、深く根付いているようです。

この３枚でサンバが理解できるわけではありませんが、サンバという音楽を広い視野で捉える事には成功していると言えるでしょう。サンバ初心者より、むしろある程度サンバを聴いている人にこそお薦めしたい好編集盤です。