Mariene de Castro

O Microbio Do Samaba

レーベル:SONY/BMG
品  番: 88697864262
価  格: 2300円(輸入盤)
製造国:ブラジル/2010年作品
買った店:ディスクユニオン新宿本館ラテン・ブラジルフロア

お待たせしました、このコーナー再開です。以前同様、いい作品をどんどん紹介していきますので、ご期待ください。

ブラジルではMPBの新世代アーティストがサンバに取り組む、というのがちょっとしたブームのようで、このコーナーでも度々その手の作品を取り上げてきましたが、ついに真打ちの登場です。

アドリアーナ・カルカニョットさん、MPB界ではマリーザ・モンチのライバル的ポジションに立つ、トップ・アーティストです。その豊かな才能は「女カエターノ・ヴェローゾ」と称されるほどで、コンスタントに新作を出し続けてさらに彼女の幼少期のあだ名である「パルチンピン」名義で子供向けシリーズ(といっても充分大人向け)を連発するなど、実に油の乗り切った活動をされているお方です。

数年前に来日公演もしたのですが、会場はライブ・ハウスでお客の入りは今一つでした。ブラジルのアーティストを連れてくる呼び屋さんたち、どうしてもっとちゃんとプロモーションしないんだろう、といつも思います。

さて、本作「サンバの微生物」であります。ブームの発端となったマリーザ・モンチの作品が「私のまわりの宇宙」。「宇宙」対「微生物」、マキシマムとミニマムの対決であります。なんとなくジャケットも「私のまわりの宇宙」を意識しているような気がします。

音のほうですが、マリーザ・モンチがマリオ・カルダートやデヴィッド・バーンなどロック界の人材を器用して“サンバだけど、サンバでない”全く新しい世界を提示してみせたのに対し、トリオ・メデイラ・ブラジルと組んだホベルタ・サーの新作(これも名作)を参考にしたと思われる、ギターとべースと打楽器の最小限編成によるシンプルでオーソドックスな演奏が特徴です。小さなブラジルレストランで、目の前で演奏してくれているような気持ちよさ。この演奏陣でそんなライブがあったら絶対行くな。

5曲目の“Beijo Sem”は、テレーザ・クリスチーナのライブ盤にテレーザとマリーザ・モンチのデュエットで収録されている曲ですが、もともとアドリアーナがマリーザ・モンチのために書いた曲のようです。MPB女子会みたいなものがあるのかもしれませんね。


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