Nosso Samba ta na Rua

Beth
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EMI Music/brasil
730738−2
2400円(輸入盤)
ブラジル/2011年作品
ディスクユニオン新宿本館4階ラテン・ブラジルフロア

前回も触れましたが、ベッチ・カルヴァーリョさんがスタジオ録音作としては約10年ぶりの新作を発表しました。ベッチは前に取り上げているし、僕なんかが紹介しなくてもどうせ皆さん買うでしょうから他の作品を、と思って別の原稿を準備していたのですが、やはりこの傑作を取り上げないわけには行きません。諸事情によりサンバのCDは一年に一枚しか買えません、という人がいたら、今年はこれを買いなさい。

サンビスタなら誰しも、ベッチさんにはお世話になっているでしょう。ダンスレッスンの音源に、ステージのレパートリーに、休日に開いたパゴージでみんなで唄う・・・。“Vou Festejar”や“Coisinha do Pai”を始め名曲の数々はこうして長年愛され続けているわけですが、この“Nosso Samba ta na Rua”もサンビスタの新たな愛聴盤となるでしょう。収録されている15曲全てが名曲、DJ用語で言うところの「捨て曲なし」です。

最初に聴いた時、実は過去の未発表曲を集めたものではないのか?と思いました。ローリング・ストーンズの名作“Tattoo You”の、あのパターンですね。その理由は、近年のライブ盤と比較してベッチさんの歌声が若返っているという事と、全体的に全盛期を彷彿とさせる勢いがあるからです。しかし、クレジットを見ると、21世紀に入ってからのベッチのライブを支えているお馴染みの仲間たちと集中的に録音した新作のようです。

最後にジャケットに関して。サンバ仲間に囲まれたベッチさんのジャケットデザインは、黄金期の諸作“Nos Batequins da Vida(77年)”“De Pe no Chao(78年)”“Na Fonte(81年)”へのオマージュになっています。ジャケでも「あの頃のベッチ」が戻ってきた事を印象づけており、制作陣の自信の程が伺えます。CDを買って外側の透明ビニールをはがし、最初にケースを開けた時にちょっとした、ほんのちょっとした感動が味わえます。天国のスティーヴ・ジョブスさん、音楽をデータとしてしか扱わなかったあなたに、この感動の意味はわからないでしょうね。


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