<strong>MUSS「MUSSUM」</strong>
レーベル:SONY/RCA
品 番:88697627642
価 格:2510円(輸入版)
製造国:ブラジル/1980年作品(2010年再発盤)
買ったお店:ディスクユニオン新宿本館4階ラテン・ブラジルフロア

持論ですが、サンバには「おやじ物」というジャンルがあります。「おやじ物」がポケモンのごとく進化すると「ジジイ物」になり、その最高峰はもちろんカルトーラであります。
「アシェ(AXE)」のCDジャケットなら「セクシーな女性」というのが定番ですが、「おやじ物」は本作のように個人的にあまり購買意欲のわかないジャケットが主流です。CD屋でアシェのお姉さんにひかれる気持ちをグッとこらえて、こっちの方が内容はいいからとか自分に言い聞かせながら「おやじ物」を手に取る、ほとんど修行です。
「え?俺でいいの?アシェのねーちゃんじゃなくていいの?兄ちゃん無理すんなよ〜、顔に出てんぞ、ガッハッハ〜」そう言われているような気がするので、レジに持っていくまでジャケットを見ないようにします。そんな行為を何度も繰り返すうちにあら不思議、いつの間にか人は極上のサンバグルーヴのトリコになっているのであります。

さて、右から読んでも左から読んでもオッケーなムスンさんは、60〜70年代に「オス・オリジナイス・ド・サンバ」というバンドで活躍しました。「オス・オリジナイス・ド・サンバ」は、インペラトリスやサウゲイロ、マンゲイラなど名門エスコーラ出身の名サンビスタ達が結成したバンドです。こう書くとバテリアの超絶技巧の応酬を期待しがちですが、彼らが目指したのは陽気でポップな親しみやすいサンバ。エレキ・ギターやヴイブラフォンを使うなど音楽性も広く、一曲まるまる全員がユニゾンで唄うヴォーカル・スタイルも特徴です。そのリーダー、ムスンさんが1980年に発表したのが本作です。「オス・オリジナイス」のメンバーや、後に「フンド・ジ・キンタウ」として名を馳せるジョルジ・アラガオンやアウミール・ギネトが演奏に参加しています。「サンバの楽しさ」「サンバを唄う歓び」が全曲に溢れており、その姿勢は「オス・オリジナイス」時代から一貫しています。

最近、ブラジルSONY/BMGが過去作品のリイシューに踏み切り、しばらく店頭から姿を消していた名作群が再び陽の目を見るようになりました。本作もその一枚で、「オス・オリジナイス」のベスト盤も再発されました。サンバにはまだまだ埋もれた名作が沢山あります。レコード会社さん、頑張ってください。僕も頑張って買います。

 

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